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■イラン・イスラーム共和国 [期間] 2009年8月3日（月）～9月3日（木）[国名] イラン・イスラーム共和国 [出張者] 髙松洋一（東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授） [概要] 報告者は、2009年８月３日から９月３日までイラン・イスラーム共和国のテヘラン市に所在する研究機関で資料調査及び収集をおこなった。 調査機関はイラン議会図書館とテヘラン大学である。この調査は、文部科学省「人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進事業」の 委託費による「イスラーム地域研究」にかかわる共同研究課題の公募事業の一環で、髙松洋一を研究代表者とする「イスラーム圏におけるイラン 式簿記術の展開：オスマン朝治下において作成された帳簿群を中心として」という研究課題を遂行するためのものである。 資料調査の過程においては、財務術と簿記術に関するペルシア語の石版本を中心に調査を行った。19世紀には伝統的な簿記術が西欧起源の複式 簿記にとって代わられたオスマン朝と異なり、イランにおいては近代に入ってもなお簿記術の伝統が継続していたため、その手引きとして石版の 技法によって出版された近代の算術書が、研究課題の遂行のため非常に有益であるという示唆を得たためである。 またイラン・イスラーム共和国ワクフ慈善庁文書専門員のオミード・レザーイー氏と会見し、昨年イランにおいても伝統的な簿記術を専論とし て解説した研究書ジャヴァード・サフィーネジャード『スィヤーク書体』が現れたことを教えられた。著者のサフィーネジャード氏はイランの農 村におけるボネとよばれる共同労働慣行の研究で知られた研究者であるが、トルコと異なり歴史研究の史料として帳簿に注目してこなかったと思 われたイランの学会においても新たな動きが起こっていることを確認できた。なお今回は同書およびペルシア語石版本カタログ、イランの文書の 透かしに関する研究書を収集することができた。 またイラン議会図書館においては、同館国際協力専門官マジード・サーエリー・コルデデ氏のご厚意により、DVD化されたイランにおける第二次 大戦期までに刊行された書籍の総合カタログ3巻および史料研究の学術雑誌『バハーレスターン』3巻の寄贈を受けることができ、イランにおける史 料研究の最新の学会状況を知る機会を得た。 |